「ちょっ、眞白!? 早いよ、ちょっと待ってっ」

「え? あ、ごめん」

 外に出て学園の敷地外に出ても手を引っ張ってスタスタと歩く眞白に抗議する。

 何をそんなに急いでいるのかわからないけど、眞白の早歩きについて行くとなるとわたしは走らなきゃならない。


「もう、なんでそんなに急いでるの? 金多くんにも何となくそっけなかったし」

 一度足を止めてからそう言って文句を言うと、眞白は少し厳しい表情をして口を開いた。


「……あまり、金多兄さんと2人きりにならない方がいい」

「眞白?」

 ゆっくり慎重に紡がれた言葉が昨日の様子と重なる。

 わたしが金多くんも頼りになる兄でしょ? と聞いたときの反応と似ていた。


 そこに宿る不穏が、今日金多くんに感じたわずかな恐怖とも似ているような気がしてわたしも慎重に聞く。

「……どうして? 金多くんは眞白のお兄さんで、生徒会長も務めてる頼りになりそうな人でしょ?……それとは関係なく、何か問題があるの?」

 その問題こそが理由だと思って追及する。


 問われた眞白は迷うように視線を泳がせてからわたしに戻し答えた。