シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

　最後の金多くんの眼差しに、ゾクリとするような妖しい光を垣間見て心がざわめく。

　兄弟だからか、ギンにも似ている妖しい眼差し。

　でも、金多くんのそれは恐怖を煽る。

「なん、なの……？」

　優姫さんも、金多くんも。

　今朝はどうしてしまったんだろう？


　答えの出ない疑問を頭の中で繰り返していたら、始業ギリギリになってしまった。


　その日は結局気もそぞろ状態で、授業にもあまり身が入らなかった。


　今朝のことを聞きたくて優姫さんに話しかけようと思ったんだけれど、もともとわたしから話しかけることがあまりなかったし、彼女はいつも友達に囲まれていてちょっと近寄りがたい。

　そのせいもあって結局放課後になっても話すことが出来なかった。


　そして放課後は放課後でわたしの方が急がなくちゃならない。

　シェアハウスにはほとんど食材がなかったから、今日の買い出しはかなりたくさん買わなきゃならないんだ。

　あまりゆっくりもしていられない。


　仕方ない。

　優姫さんたちのことは眞白も何か知っていたっぽいし、道中眞白に聞いてみよう。


　そう思ったわたしは優姫さんから話を聞くのを諦めて、眞白と合流することを優先した。