「いいぜ、俺も雪華の手料理食えるなら嬉しいし。それにお前は自分で決めたことには一生懸命になるからな……」

 そう言ってわたしの頭を軽くポンポンと叩くと顔を近づけて囁くように続けた。

「……それに、お前のそういうところに俺は惚れたんだし?」

「っ!?」

 突然の告白に心臓が大きく跳ねる。

 色っぽい囁き声も相まってドキドキが中々治まらない。


 ちょっ、ホント、いきなりそういうこと言わないでほしい。

 頭ポンポンとかも、なんか気恥ずかしいけど嬉しいような気分になるし……。


 うう……わたし、もしかしなくてもすでにギンのこと好きなのかな?

 色気に当てられてるだけ? とも思ってたけれど、それだったら今頭をポンポンされたときに胸がキュッとなってしまったのとかは違う気がするし……。


 あーもう! 分かんないよ!!


 とりあえず、今は考えることを放棄した。


「じゃあ今晩から頼むな。カードは一応眞白にも渡してあるし、それで食材とか買ってきてくれ。荷物持ち足りないようなら央汰か瑛斗を呼べばいい」

 そう言ってギンが話をまとめていると、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。

 バタンという閉じる音がする前に眞白の声が響く。


「おはようございまーす。すんません、何か食べるものあります? 飯炊くの忘れちゃってて食べてないんすよ」

 そう言ってリビングのドアを開けた眞白に皆が視線を向ける。

 その眞白に気づかれる前にとでも思ったのか、最後まで大事そうに食べていたサンドイッチの残りを一気に頬張る岸本くんの姿が見えた。