「お? 珍しー。ギンがこの時間起きてるとか。ヤッた次の日とか早起きするタイプだったわけ?」

 普通逆じゃね? と笑いながら颯介さんがからかい交じりに口にする。


「な!?」

 挨拶もせずに朝から何言ってるのよ!?


「してません!」

 早めに否定しておかないとずっとからかわれそうだと思ったわたしは即座に叫んだ。


「え? マジで? あの状況で?」

 わたしの否定の言葉に驚きつつも、信じられなさそうに言葉を重ねる颯介さん。

 わたしの言葉だけじゃ信じられなかったのか、驚きの眼差しでギンを見る。


「……あの後すぐに眞白から連絡があったんだよ」

「ああ、それでか」

 それだけで納得の言葉を口にする颯介さん。

 まあ、そうならないように説明するって眞白が伝えてたもんね。


「でもギンよく我慢したな? あれだけ欲しがってたのに」

 立ち上がってギンに近づいてきた颯介さんは、“よくできました”と子供を褒めるみたいに肩をポンポンと叩いた。

 でもギンはうざそうにそれを払いのける。


「ヤメロ。いいから、俺もコーヒー」

 そしてソファーに座った。


 へいへい、と了解の言葉をテキトーに口にしながらキッチンに向かおうとする颯介さんにわたしは声をかける。