「あ、えっと……はい」
本名を思い出せない以上誤魔化しは効かないと思って素直に頷いた。
「あ、でもギンっていうのが本名じゃないことだけは覚えてますよ!」
何だか思ったよりショックを受けているみたいだったから、フォローのためにもそう付け加える。
「……」
でも彼は無言でジトーッと見てくるだけ。
その様子に今度ははちょっと逆ギレしてしまった。
「あ、あなたが悪いんですよ!? あのとき突然キスなんてするから、色々吹っ飛んじゃったんです!」
逆ギレだけど、事実でもある。
あのときは本当にそれくらい驚いたんだから。
「……はぁ。まあいいか」
まだ不満顔だったけれど、ため息を吐きジト目はやめてくれた。
「また教えてください。ちゃんと名前で呼びますから。……あ、でも皆の前では呼ばない方がいいんですか?」
そこまで不満顔をするなら、とまた名前を聞いた。
でも颯介さんも知らないと言っていたから、もしかしたらあえて黙っているのかもしれないと思って確認する。
「……」
でも彼はわずかに目を細め、何かを思案している顔でわたしを見下ろしていた。
何を言われるのか緊張しながら待っていると、フッと表情が緩み口が開かれる。
本名を思い出せない以上誤魔化しは効かないと思って素直に頷いた。
「あ、でもギンっていうのが本名じゃないことだけは覚えてますよ!」
何だか思ったよりショックを受けているみたいだったから、フォローのためにもそう付け加える。
「……」
でも彼は無言でジトーッと見てくるだけ。
その様子に今度ははちょっと逆ギレしてしまった。
「あ、あなたが悪いんですよ!? あのとき突然キスなんてするから、色々吹っ飛んじゃったんです!」
逆ギレだけど、事実でもある。
あのときは本当にそれくらい驚いたんだから。
「……はぁ。まあいいか」
まだ不満顔だったけれど、ため息を吐きジト目はやめてくれた。
「また教えてください。ちゃんと名前で呼びますから。……あ、でも皆の前では呼ばない方がいいんですか?」
そこまで不満顔をするなら、とまた名前を聞いた。
でも颯介さんも知らないと言っていたから、もしかしたらあえて黙っているのかもしれないと思って確認する。
「……」
でも彼はわずかに目を細め、何かを思案している顔でわたしを見下ろしていた。
何を言われるのか緊張しながら待っていると、フッと表情が緩み口が開かれる。



