「で、でも、あれから7年も経ってるのに……わたしじゃなくても――」

「雪華」

 あの一度の邂逅(かいこう)でどうしてそこまで思ってくれるのか。

 それが分からなくて言葉を重ねようとするわたしを彼は名前を呼ぶことで止めた。


「自覚しろ。お前は、俺の特別なんだ」

「っ!」

 その瞳に欲とはまた別の(ともしび)が宿り、わたしを見つめる。


 憧れにも似たその眼差しに戸惑っていると、手が伸びてきて頬を撫でるように包み込んだ。

「俺が欲しいと思ったのは、後にも先にもお前だけだ」

「っ!」

 甘さすら込められた言葉に、わたしはなんて返せばいいんだろう。


 惹かれているのは確か。

 でも、同じ思いを返せるのかは分からない。

 自分の気持ちがハッキリしないのに、この真っ直ぐな思いに応えることなんて出来なかった。


 でも彼はそれすらも見透かしているようで……。

「まあいいさ、何にせよお前は俺のところに来た。それならこれからじっくり教え込んでやればいいだけだ」

「え?」

 どういう意味か分からなくて聞き返そうとするけれど、その前に頬を包んでいた手が肩に移動して押された。


「あ、きゃっ」

 小さく悲鳴を上げると、ボスンとベッドに埋もれる。

 驚きで抗議の声も出せないうちに、彼の大きな手がわたしの視界をふさいだ。