その美しさに魅了されたのか。

 その妖艶さにあてられたのか。

 それとも別の理由なのか。


 それは分からなかったけれど……。


 その辺りを少し考えていると、彼の表情があからさまな不満顔に変わる。

 まさにふてくされてるといった表情に、子供っぽさが少し垣間見えてちょっと驚いた。


 こんな表情もするんだ……。


 美しく妖艶な色気ダダ洩れな雰囲気だったのに、今の表情を見ると少し可愛くも見えてしまう。

 魔女っぽさより人間っぽさが出て少し安心した。


「……でも、やっとお前を俺のものにできると思ったのに……またお預けか」

「お預けって……まあ……」

 確かにずっと待っていたって言ってたくらいだからそう言いたくもなるのかな?


 と、納得はするけれど、どうしても分からない。

 どうして彼はそこまでわたしを求めてくれるのか。


「でもあの……どうしてわたしなの? 7年前に一度会っただけなのに……」

 そう。
 確かにあの時欲しくなったとは言われたけれど、それから7年も経ってる。

 考えが変わるには十分な時間だ。

 そう思ったのに……。


「忘れたのか? 俺はお前が欲しくなったって言ったはずだぞ?」

 まるでその7年なんてなかったかのように同じ言葉を口にする。