……わたし、どうしたいんだろう?


 このまま魔女に食べられてもいいと思っているのか、助けて欲しいのか。

 やっぱり思考を奪う魔法を掛けられてるんじゃないだろうか。


 どうしたいのか、そう自問しても答えが出せない。

 ただ分かるのは、どうしようもなく惹かれていることだけ。


 でもそれも、本当にわたしが心から思っていることなのか、魔性を秘める彼に魅了されているだけなのか。

 どちらなのか分からない。


 結局颯介さんはそのまま強く止めることが出来ず、わたしは魔女の(いざな)いに乗ってしまった。

***

 階段を上がってついたのは3階の一室。

 彼が電気を点けると、そこは十畳程の洋室だった。

 黒を基調とした、シンプルな部屋。


 ジャケットを脱いで椅子の背もたれにそれを掛けた彼は、ドアの辺りで立ちっぱなしになっていたわたしにその手を伸ばした。

「……来いよ」

「っ!」


 行っちゃダメだ。

 そう思うのに足は動き。


 このまま流されちゃダメだ。

 そう思うのに彼の手を取る。


 まるで本当に操られているみたいで、ゾクリと怖くなった。

 でもその恐怖すら彼の魅力となってわたしを惹きつける。