「いいぜ、来いよ。……お前をずっと待ってたんだ」
そう言って魔女はわたしの手を取り引いていく。
妖艶に微笑むその瞳に誘われるがまま、わたしはついて行ってしまう。
頭のどこかでこのままついて行ってはだめだと警鐘が鳴っているのに、足は操られたかのように進んでいく。
「え? おい、眞白から話聞いてねぇの!?」
颯介さんが何か言って止めてくれている。
でも魔女はそれにすぐには答えず、持っていた食べかけのリンゴを彼に放り投げた。
颯介さんは思わずといった様子でそれを受け取る。
「話? 何だよ?」
「え? いや、俺も詳しくは知らねぇけど……」
「じゃあ邪魔すんな。俺がどれだけ待ったと思ってるんだ」
「いや、でもよ……」
颯介さんはまだ何かを言って止めようとしてくれているけれど、チラッとわたしを見て口を閉じてしまった。
多分、わたしが抵抗らしい抵抗を見せていないからだと思う。
分かってる。
今ここで颯介さんに彼を止めてとお願いすれば良いってことは。
多分そうすればもっと強く魔女を止めてくれる。
それに、眞白の話をちゃんと聞くまでこの魔女は待ってくれるだろう。
無理矢理ものにする、なんて強引さは見られなかったから。
そう言って魔女はわたしの手を取り引いていく。
妖艶に微笑むその瞳に誘われるがまま、わたしはついて行ってしまう。
頭のどこかでこのままついて行ってはだめだと警鐘が鳴っているのに、足は操られたかのように進んでいく。
「え? おい、眞白から話聞いてねぇの!?」
颯介さんが何か言って止めてくれている。
でも魔女はそれにすぐには答えず、持っていた食べかけのリンゴを彼に放り投げた。
颯介さんは思わずといった様子でそれを受け取る。
「話? 何だよ?」
「え? いや、俺も詳しくは知らねぇけど……」
「じゃあ邪魔すんな。俺がどれだけ待ったと思ってるんだ」
「いや、でもよ……」
颯介さんはまだ何かを言って止めようとしてくれているけれど、チラッとわたしを見て口を閉じてしまった。
多分、わたしが抵抗らしい抵抗を見せていないからだと思う。
分かってる。
今ここで颯介さんに彼を止めてとお願いすれば良いってことは。
多分そうすればもっと強く魔女を止めてくれる。
それに、眞白の話をちゃんと聞くまでこの魔女は待ってくれるだろう。
無理矢理ものにする、なんて強引さは見られなかったから。