シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

 やっぱりそっちがキッチンとかある方なんだね。


 言われるがままドアを開けてそちらに向かうと、最初に飛び込んできたのは大きなダイニングテーブル。

 椅子は8脚ある。

 そこから右の方に視線を向けると対面式のキッチンがあった。


 掃除はされてるみたいだけど、あまり使われていない感じ。

 電子レンジだけはかなり使っている形跡があった。


 それと……。

「何でこんなにリンゴが?」

 キッチンの床にかなり大きめのカゴがあって、中にはリンゴが山盛りになっている。

 まるでリンゴ農家さんから貰ってきました!って感じ。


「……いや、まさかね」

 リンゴというと昨日の魔女のことを思い出すけれど、関係あるわけないよね。

「……いや、でもそういえば……」

 眞白の一番上の兄との記憶にもそういえばリンゴがちょっと関係あったような、と思い出す。


「いやいやいやいや! 関係ないよね!?」

 リンゴから連想された記憶にあり得ないと首を振る。

 でもそうやって否定しようとすればするほど、それらの記憶がつながってしまいそうになる。


「いや、まさか……あり得ない」

 きゅるるるるぅ……

「……ごはん探そう」

 図らずとも響いたおなかの音に、とりあえず変に考えず今は空腹を満たすことを優先した。