「思い出しては反省して落ち込んでてさ、流石にちょっとかわいそうに見えてきたところだったから……」

「……うん、分かった。そのうち電話してみるね」

 いつまでも距離を置いているわけにはいかない。

 血のつながりはなくても家族なんだ。

 わたしもこのまま義父さんとギスギスした関係にはなりたくない。


 ……それに、シロガネのおかげかあの日の義父さんのことを思い出すことはほとんどなくなっているから。

 むしろ同じ目をしているからか、思い出すと自然とシロガネとの記憶にすり替わってしまう。

 それくらいあのときの傷は消えている。


 亀裂はそのままでも、会うのを敬遠するって程ではなくなっていた。


「そっか、良かった。頼むよ」

 そう言った眞白はホッとした笑顔を浮かべていた。

***

「もう、みんないつの間にそんなに雪華ちゃんと仲良くなってたの!?」

 お昼休みには優姫さんも加わって先週から一緒に食べているメンバーでお弁当を広げる。


 優姫さんはちゃんと金多くんと話し合ったみたいで、すっかり元気を取り戻していた。


「優姫さんが休んでる間にだよ」

「……」

 わたしが苦笑気味に答えると、何やらすねた表情で見つめられる。


「な、何?」

「……名前。みんなとも仲良くなって、もうすっかり友達なのに……あたしのことはさん付けなの?」

「え?」

「さん付け禁止!」