兄さんって、金多くんのことじゃないよね?

 金多くんは実家住みだと目の前の眞白が以前言っていたし、何よりわたしのことをそんな頻繁に話すとは思えない。

 つまりは眞白のもう1人の兄ってことになるけれど……。


 でもあの人だって、7年前に一度会っただけのはず。

 そんな頻繁に話すほどわたしのことを知ってるとは思えない。


 ……ただ、その一度会ったときの別れ際の言葉がよみがえる。


『お前が欲しくなったよ、雪華』


「っ!?」

 いやいや、あれはどっちも小学生の頃だったし。

 7年も経ってれば気持ちとかも変わってるだろうし!


 いやまさかと首を振っているうちに、颯介さんがタオルを持って戻って来た。

「で? どうした? ユキちゃん連れてきたってことはついにギンのになるのか?……にしてはなんかちょっと雰囲気違うけど」


 ギンのになるってどういう意味だろう?

 よく分からなかったから黙って成り行きを見守った。


「いや、まあ。もうその方がいいかなって思うんですけど……ただ義姉さんにはちゃんと伝えてなくて……」

「ん? じゃあ何で連れて来たんだよ?」

「それは家庭の事情ですね。詳しいことは兄さんに直接言いますよ。今いますか?」