「うーん……心配するかもと思って黙ってたけど……まあ大丈夫だよな」

「心配?」

 その言葉を聞いてわたしの心に不安が芽生える。


「こないださ、ユキちゃんにウイルスソフトのこと相談しただろ?」

「……はい」

「あの後ギンとも相談して、あの方法が一番確実だってことになったんだ」

「……そうなんですか」

 どうしてだろう、わたしのアドバイスが役に立ったってことで嬉しいはずなのに……。

 なのに、芽生えた不安が胸を騒めかせる。


「それで、肝心の一番最初のデータはどこにあるのかって話になって……まあ、キョウの所にあるだろうってギンが」

「っ⁉」

 まさか……。


「今夜は、そのデータを取りに行ってるんだ」

「え? それって大丈夫なんですか?」

 普通に聞き返す眞白に、颯介さんは苦笑いを返す。


「大丈夫かは分からないけど、まあそこはギンだし……何とかなるだろ」

 そうは言うけれど、嫌な予感がしてしまう。


 キョウが素直にそのデータを渡してくれるならシロガネ1人で行っただろう。

 でもそうすんなりいくわけがないから、岸本くんと伊刈くんを連れて行ったってことなんじゃないだろうか。


 胸騒ぎが治まらない。

 早く帰って来て、この不安が杞憂(きゆう)だったってことになって欲しい。

 そう、思っていたのに――。


 ガチャ!

 突然玄関のドアが開く音がしたと思ったら、すぐに岸本くんの叫びが聞こえた。



「みんな、ヤバい! ギンさんが捕まった!」