シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

《色々と気に病んだりしてない? 大丈夫?》

 具体的な事を言ったら思い出させてしまうかも知れないと思ったから、変にまわりくどい言い方になってしまったかも知れない。

 でも数分後には優姫さんからちゃんと返事が来た。


《連絡先教えて良いって言うの遅くなってごめんね。やっぱり襲われたの、あたしのせいなんじゃないかって思うと連絡取りづらくて……》

 やっぱり気に病んでたみたいだ。

《でもさっき銀さんから雪華ちゃんが心配してたって連絡が来て……。心配させちゃってごめんね》

 シロガネ、ちゃんと優姫さんに連絡してくれたんだね。

 わたしのことも伝えてくれたんだと思うと少し胸が温かくなった。


《ううん、いいの》

 優姫さんの謝罪を気にしないでと断り、続ける。

《それより今夜あたり電話していい? 話したい事があるの》

 金多くんのこと、伝えたい。


 多分、金多くんは優姫さんに会いに行ってないんだろう。

 だって、会いに行っているくらいならあの想いを伝えているだろうし、それなら優姫さんが未だ登校してきていないなんてことはないはずだ。


 だから、伝えたい。

 金多くんがどういう想いで別れ話をしたのか。

 襲われたと聞いて、本当はすぐにでも会いに行こうとしたこととか。