「チッ! 義姉さん、来て」

「え?」

 舌打ちをした眞白は、倒れたままの義父さんを放ってわたしの腕を引き2階へと階段を上がった。

 そうして入ったのはわたしの部屋。


「とりあえず、着替えとか大事なもの一通りバッグに詰めて」

「え? 何? どういうこと?」

 今にも泣きだしたい心境だけど、眞白の言葉の意味が分からなくてそれどころじゃない。

 眞白はわたしをどうしようとしているの?


「……義姉さんはいったん家を出た方が良い。父さんが義姉さんを義母さんの代わりにしようとしてるのは何となく気づいてた。でも、まさかあんな……とにかく、準備して」

 硬い表情で指示を出す眞白に、わたしは従う事しか出来なかった。


 どうしてこうなったのか。

 何か間違えてしまったのか。

 分からない。

 分からなくて、考えることすら放棄したくなる。


 だから、言われるがまま荷物を詰めた。


「出来たよ」

 手持ちのバッグの中で一番大きめなものを選んで、とにかく何となく必要そうなものを詰め込んだ。


「うん、じゃあ行こう」

 そうして部屋を出ると、眞白は階段を下りて真っ直ぐ玄関に向かう。