ギン1人でも大丈夫だからだろうか。
 それとも邪魔にしかならないからだろうか。

 彼らは囲むようにギンの戦いを見守っていた。


 ――いや、あれは見惚れているともいうのかもしれない。

 だって、わたしもそうだから。


 しなやかな動きで相手を打ち負かすギンは美しく、銀の髪が動く度に軌跡(きせき)を描く。

 男らしい力強さがあるというのに、その様はひたすら美しく、妖しく、(あで)やか。

 舞踊でもしているかのような光景は、まさに魔女と呼ぶにふさわしかった。


 綺麗で、そしてその妖しさに心が惹かれる。

 銀の軌跡がまるでプラチナのようで――。


「――あ」

 瞬間、前触れもなく思い出した。

 7年前の記憶が流れるように頭の中をかけめぐる。


 そうだ……わたし、あのとき……。

 それに、ギンの本当の名前は――。


 胸が熱くなって、今すぐ彼の下へ行きたくなる。

 近くに今は行けないけれど、まずは階段を下りて……。


 そう思った途端、階段を下りて颯介さんと合流しろと言われていたことを思い出した。

 次いでハッとする。

「……あ、優姫さんは?」

 中嶋たち4人があっちにいるということは助け出されていると思うけれど……。


 そう考えながら急いで階段を下りると、丁度下りた辺りのところに颯介さんと優姫さんがいた。