そして普通の顔でそういうことを言わないで欲しい。

 反応に困るから。


「否定しないってことはやっぱり合ってるんだ?」

 分かっているなら追及しないでくれればいいのに、眞白はそんな風に確認してくる。

「……分かってるなら聞かないでよ」

 恨めし気にそう告げると、眞白は「ごめん」と謝ってから言葉を続ける。


「でもハッキリさせておきたいことがあったから」

「ハッキリさせておきたいところ?」

 繰り返して聞くと、眞白は困ったような、気まずげな笑みを浮かべた。


「うん……。嫌がってる感じはないから大丈夫だとは思うけど……義姉さんはちゃんと兄さんのこと好きなのかな? と思って……」

「え?」

「仕方なかったとはいえ、義姉さんにその気はないのに兄さんの所に連れて行っちゃっただろ? 義姉さんの気持ち的にはどうなのかな、と思って……」

 少し申し訳なさそうな表情を見るに、眞白はわたしがギンのものになる気なんてなかったのに、あのシェアハウスに連れて行ってしまったことを気にしているみたいだった。


「……まず言っておくけど、シェアハウスに連れて行かれたことは恨んでなんかいないからね?」

 あの状況では、わたしは家にいない方がいいだろうってことは分かる。

 義父さんの中で、お母さんのことを色々整理出来るまではそばにいない方がいいのかもしれないとも思うし。