シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

 末期ガン宣告をされた桔梗さんは学園の時計塔を改築してあのキョウのいる部屋を作ったんだそうだ。

 そして、泊まり込んでそのパーソナル人工知能を作り始めた。


 そこまで聞いて、あの部屋にあったベッドはそのためのものだったのかな、と思う。


「P.A.I.ってのは、少ない個人データから対象の人物“らしさ”を再現するための技術だ。本来ならネットにつなぐことでAI自らが個人データをもとに膨大なデータからその人らしさを抽出するんだ……でもな……」

 続けて語られた内容は、正直理解するのが大変だった。

 デジタル系統はそこまで詳しくないから……。


「母さんはより自分に近い存在――自分自身を残そうとしたみたいだった」

 そのため、初めはネットにつなげず自分の個人データのみを入力していったそうだ。

 でも、一年とたたないうちに病状が悪化。入院せざるを得なくなった。


「そこでP.A.I.の作成は中断。母さんもそのまま戻ることなく亡くなったから削除してしまえばそれで終わり――のはずだった」

 でも、そう簡単なことにはならなかった。

 むしろややこしい状態になっていたんだとか。