シュヴァルツ・アプフェル～黒果～魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

　プラチナを思わせる長い銀髪。
　真っ白な肌。
　濃い紫色の目。

　それらを兼ね備えた１０代前半に見える美しい女の子。

　その子は部屋の奥でたたずむように“映し出されて”いた。


「……え？」

　人間だと思っていただけに衝撃が隠せない。

　特殊なスクリーンを使っているのか立体的には見えるけれど、そこにある姿は明らかに“映像”だった。


　戸惑い、周囲にも視線を向けると部屋の中には白い布が張り巡らされているのが分かる。

　そんな布たちに隠れるようにベッドが１台あり、それ以外の場所には様々な機械が置かれている様だった。


　……何？　この場所……？


　戸惑い、訝(いぶか)しみ、混乱する。

　そんなわたしに、キョウと呼ばれていた立体映像が美しい笑顔を浮かべて話しかけてきた。


「あら、あなたが雪華さん？　初めまして、私はデジタルクローンのキョウよ」

「え？　あ、初めまして……」

　挨拶をされたので反射的に返したけれど、これはいったい何なんだろう？

　デジタルクローン？


「ッチ。挨拶とかいらねぇから、行くぞ雪華」

「え？　あ……」

　色々と良く分かっていないわたしの腕を掴み、ギンは少しイラついた様子で部屋を出ようとした。

　そんな彼にキョウが声を掛ける。