立ち聞きしてたの、バレた!?
その瞬間、色々考えていたことが吹き飛んで気まずさだけが残る。
出ていきたくはなかったけれど、いるのがバレているのに隠れ続けるわけにもいかない。
わたしはゆっくり木の陰から出て金多くんを見た。
仕方ない子だなぁとでも言いそうな表情。
「ごめんなさい……立ち聞きするつもりはなかったんだけど……」
「分かってるよ。別に怒ってはいないから」
そう言って苦笑するさまはさっき優姫さんに向けたものとは違って優しそうに見える。
優姫さんとの別れ話なんて嘘だったんじゃないかと思わせるほどに。
どうして別れるなんて言ったの? って、聞いていいのかな?
そう迷っていると、金多くんの方が先に質問してきた。
「でもどうしてこんなところへ? もしかして時計塔に向かってた?」
「え? あ、うん。鍵を返してくるよう頼まれちゃって……」
「ああ、水野先生か」
あの先生にも困ったものだよね、と口にするあたり、水野先生の怖がりは全生徒共通の認識なんだろうなと思った。
「そういえば、昨日は眞白に邪魔されちゃって聞けなかったけど……雪華さんは今兄さんの所にいるんだろう?」
「え? あ、うん」
昨日と同じ質問。
でも、昨日とは違って金多くんはいつもの笑顔を浮かべていたから素直に答えてしまった。
その瞬間、色々考えていたことが吹き飛んで気まずさだけが残る。
出ていきたくはなかったけれど、いるのがバレているのに隠れ続けるわけにもいかない。
わたしはゆっくり木の陰から出て金多くんを見た。
仕方ない子だなぁとでも言いそうな表情。
「ごめんなさい……立ち聞きするつもりはなかったんだけど……」
「分かってるよ。別に怒ってはいないから」
そう言って苦笑するさまはさっき優姫さんに向けたものとは違って優しそうに見える。
優姫さんとの別れ話なんて嘘だったんじゃないかと思わせるほどに。
どうして別れるなんて言ったの? って、聞いていいのかな?
そう迷っていると、金多くんの方が先に質問してきた。
「でもどうしてこんなところへ? もしかして時計塔に向かってた?」
「え? あ、うん。鍵を返してくるよう頼まれちゃって……」
「ああ、水野先生か」
あの先生にも困ったものだよね、と口にするあたり、水野先生の怖がりは全生徒共通の認識なんだろうなと思った。
「そういえば、昨日は眞白に邪魔されちゃって聞けなかったけど……雪華さんは今兄さんの所にいるんだろう?」
「え? あ、うん」
昨日と同じ質問。
でも、昨日とは違って金多くんはいつもの笑顔を浮かべていたから素直に答えてしまった。



