「……まあいいさ。とにかく帰ろう、暗くなってきたし」

 そう言って窓の外に視線を向ける眞白に、つられるようにわたしも外を見る。

 まだ少し明るさはあるけれど、夕日ももう落ちてしまったみたいだ。


 すぐに暗くなりそうだな、と思ったわたしは眞白の言葉に頷いた。

「うん……そうだね」


 夕飯の支度しなきゃ。

 物悲しい気持ちを思い出しながら、そんな事を思った。

***

 眞白と2人で家に帰ると、家の鍵は開いていて明かりもついていた。

 眞白と2人顔を見合わせて肩を落とす。


「……定時で帰ってきたとしても、流石に早いよな?」

「そうだね。また早退してきちゃったのかな?」

 玄関に投げ捨てられたかの様に散らかっていた義父さんの皮靴を整えながらそんな会話をする。


 気持ちは分かるけど……もう半年経つのに……。


「父さーん、ただいまー!」

 そう声を上げて先に家の中に入って行った眞白は、真っ先に奥の部屋に向かう。

 わたしも後を追う様にそっちへ向かった。


「ん? ああ……お帰り、2人とも」

 弱々しい笑顔で迎えてくれた義父さんは、すぐに視線を元の場所に戻す。

 そこにあるのは仏壇。
 比較的新しいお母さんの写真が立て掛けてある。