「菜穂ちゃん、子供は?」
一般的に投げるには勇気がいるであろう質問だ。菜穂の表情が一瞬怯んだ。
「んー、まだいいかなって思ってる」
「そっかー。人の子供の心配するより、自分の結婚の心配しろって感じだよね」
自虐的に言い、ケラケラと喉を鳴らす野田さんは生クリームたっぷりのワッフルを口に運ぶ。その豪快な食べっぷりに感心する。
「多分結婚しないと思うんだよね、私」
「そうなの?」
「うん。今エリアマネージャーでしょ? 出来れば課長、部長って仕事で登りつめたい気持ちもあるし。それに食べるのは好きだけど作るのは苦手だし、知らない誰かと一緒に暮らすとかちょっと想像つかないんだよね。専業主婦を見下げてるわけじゃないんだよ。誤解しないでね。ただ、朝起きて掃除して買い物に行って料理して旦那さんの帰りを待つっていうのが、どうも私の性に合わない気がするというか」
充分見下げられているように感じたが菜穂は何も言わず相槌に徹していた。
「仕事も趣味も謳歌したいっていうかさ」
―――私は仕事も趣味も謳歌したくない。
一般的に投げるには勇気がいるであろう質問だ。菜穂の表情が一瞬怯んだ。
「んー、まだいいかなって思ってる」
「そっかー。人の子供の心配するより、自分の結婚の心配しろって感じだよね」
自虐的に言い、ケラケラと喉を鳴らす野田さんは生クリームたっぷりのワッフルを口に運ぶ。その豪快な食べっぷりに感心する。
「多分結婚しないと思うんだよね、私」
「そうなの?」
「うん。今エリアマネージャーでしょ? 出来れば課長、部長って仕事で登りつめたい気持ちもあるし。それに食べるのは好きだけど作るのは苦手だし、知らない誰かと一緒に暮らすとかちょっと想像つかないんだよね。専業主婦を見下げてるわけじゃないんだよ。誤解しないでね。ただ、朝起きて掃除して買い物に行って料理して旦那さんの帰りを待つっていうのが、どうも私の性に合わない気がするというか」
充分見下げられているように感じたが菜穂は何も言わず相槌に徹していた。
「仕事も趣味も謳歌したいっていうかさ」
―――私は仕事も趣味も謳歌したくない。