今にも鼻血を拭いて倒れそうになるのを、なんとか我慢する。


なに?


なんて言った?


そう聞きたいけど、もう1度同じ事を言われたら間違いなく鼻血を拭いてしまう。


何かを期待して、ソッと目を閉じる向日葵。


長いまつげが垂れて、唇がうっすらと開く。


すっごく綺麗で魅力的で誘っていて。


逃れようと思えば簡単に逃れられるのに、捕らえられてしまった。


卑怯だよ……。


ただの幻想世界なハズなのに、こんなに惹かれるなんて――。


私は、言われたとおり向日葵に口付けをした。


一応、私のファーストキス。


でも、感触はなくて、ただ光が暖かいだけの世界。


「これで、いい?」


パッと向日葵から身を話し、真っ赤になってうつむく。