陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 正直失礼な! と思ったけれど、陰キャにしか見えない――というかまさに陰キャなんだけど――陽呂くんが元が付くとはいえ、卓球部のエースだった颯くんに勝てるとか普通は思わないよね……。


「もういっそ陰ヒロが『俺の女に手を出すな』とか言っちゃえばいいんじゃない?……言えるかどうかは別として」

「ぅえぇえ⁉」

 花穂の言葉に思わず変な声を出してしまった。


 俺の女、とか……陽呂くんが言うとは思えないけど……いや、内心では似たようなこと思っててくれそうな気もするけど……。

 でも、花穂の言う通り口には出来ないと思う。

 あたし以外とはまともに話せないっていまだに言ってたし。


「何でそんなに驚くの? 秘密で付き合ってるんじゃないの?」

「え? 付き合ってはいないよ?」

 椎菜さんの疑問に正直に答えると、彼女は花穂と顔を合わせ一緒になって首をひねる。


「え? でも両想いなんでしょう?」
 と椎菜さん。


「そ、れは……多分。ちゃんと好きって告白されてないけど」

 何となく気まずい気分で答えると。


「え? じゃあ両片思い状態?」
 と花穂。


「えっと……誕生日にって、告白予告みたいなことは言われた……」

 言って良いものかと思ったけれど、色んなことがあり過ぎて相談できる相手が欲しかったこともあり、話してしまった。