昨日の陽呂くんはあたしを庇う様に前に立って、すごく警戒しているように見えた。

 そういえば陽呂くんから月原先生のことを聞いたことはあまり無い気がする。


 感謝はしてる、とは聞いたけど……。


「俺は大丈夫。でも美夜は絶対あいつと二人きりになるなよ?」

「へ? どうして?」

「……多分、あいつの狙いは美夜だから」

「え? それこそなんで⁉︎」


 思ってもいなかったことに驚く。

 あたしと月原先生は直接の関わりは無いはずだけど……。


「……俺の“唯一”が気になるんだと思う」

「あ、そっちの方か……」

 そういう意味ならちょっと納得。

 確か聞いた話だと、吸血鬼の“唯一”ってそう簡単には見つけられないってことだったし。


 月原先生も自分の血を分けた相手に“唯一”が見つかったから気になったって事かな?

 でもそれだけならそこまで警戒する必要はないんじゃないかな?


 そんなあたしの考えを読み取ったのか、陽呂くんは眉間にシワを寄せてもう一度注意してくる。

「美夜、ちゃんと気をつけろよ?」

「分かったよ」

 陽呂くんがそこまで言うなら、ちゃんと気をつける。

 そう約束すると、やっと安心してくれた。


 そうやって二人並んで学校に行くと、丁度校門の辺りで颯くんとバッタリ会う。