とにかく、そんな美夜なのに学校内にいるうちに追いかけてまで質問してくるなんて……。

 それくらい気にしてくれてるって事だよな?


 あ、ヤバイ。

 嬉しくてニヤケそう。


「大丈夫って……負けはしないぞ?」

 ゆるみそうになる口元を誤魔化すために口を動かした。


「でもさ、卓球は力いっぱいやればいいってものでもないし……。それに勝ったら勝ったで不審に思われないかな?」

「……」

 言われて確かに、と不安になる。


 卓球自体あまりやったことはないし、勝ったら勝ったで周りに不審がられたらまた転校なんてことになりかねない……かもしれない。

 まあ、そうなったらそうなったで家に引きこもるけど……。


 でもそうしたら親はまた気にして暗くなるだろうし、何より美夜が気にしてしまう。

 流石にそれは避けたいな。


「……とりあえず、手加減とか色々練習はしてみる。……勝ったときの言い訳も……考えてみるよ」

 自信を持っては言えないけれど、負けるわけにはいかないからやってみるしかない。


 美夜のことだけは、譲れないからな。


 そんなことを考えながら二人で階段を降り、一階についたところだった。

 何だか嫌な気配がして、前を見る。

 すると目の前にその人はいた。