陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

「うう……」

「あ、もっと赤くなった」

 明るい部屋の中に入ったせいもあってあたしの顔色はバレバレだ。


 何で普段は鬱々(うつうつ)としてるのに、夜になるとちょっと楽しそうなんだろう。

 やっぱり暗い方が好きってことなのかな?


 窓を閉めて鍵をかけ、カーテンを閉める。

 そうすると、陽呂くんは常に被っているフードを脱いでベッドサイドに外した眼鏡を置いた。


「美夜、こっち来て」

 近付くと、腰を引かれて彼の腕の中に閉じ込められる。

 腰を抱くのとは反対の手が、あたしの頬に触れた。


「っ……顔、近いよ……」

 いつもは隠されている陽呂くんの綺麗な顔が間近にある。


 鼻筋は通っていて、形のいい顎と唇。

 そして何より、少したれ目気味な切れ長の目がとても綺麗だ。


 その綺麗な形の目を彩るのは愛嬌のある茶色。

 その茶色があたしの顔を近くから(なが)めていた。


「しかたないじゃん、これくらい近くないと美夜の顔ちゃんと見えないんだから」

 近いから、そうして話すときの吐息も頬にかかってしまう。


 そう、彼の分厚い眼鏡は伊達じゃない。

 本当にそれくらい目が悪いんだ。