陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 今まで邪魔されたりタイミングが合わなかったりで言えなかったこともあり、あたしはハッキリと大きな声で話し出す。

「あたし、颯くんとは付き合えません!」

「っ!?」

「ごめんなさい、告白されたときにすぐ言えばよかったんだけど……」

「っちょ! 待った!」

「え?」


 申し訳なさから下を見ていた顔を上げると、悲しそうな笑みが見えた。

「やっぱり、さっき何か言われたんだろ?」

「へ?」

「突然そんなこと言い出すなんて、そうとしか思えない」

「ええ!?」


 まさか今回も違う意味でタイミングが悪いとは思わなかった。

 どう言えば分かってもらえるのかと頭を悩ませているうちに、颯くんは語りだす。


「中学の時さ、オレ卓球部だっただろ?」

「へ? あ、うん」

「三年の夏。最後の大会でオレ決勝まで行けたのに負けちゃったの、知ってるよな?」

「それは、うん」


 泣いてるとこ居合わせちゃったし……。

 突然語られた去年の出来事。
 戸惑いつつも思い出しながらうなずいた。


「みんなは頑張った結果だって慰めてくれたけどさ、オレ前日ちゃんと眠れなくて……それで思うように動けなかったんだ。それが一番悔しいのに、周りからは頑張ったんだからってしか言ってもらえなくて……」

 辛かったんだ、と颯くんは語る。