何で美夜はすぐに断らなかったのか。

 もしかしてあの颯ってやつに気があるんじゃないのか。

 俺のこと少しは思ってくれてるはずだっていうのは、やっぱり俺の思い込みだったのか。


 そんなわけないと否定するけど、どうしても不安はなくなってくれなくて……。

 保健室のベッドで二人きりになって、「あいつと付き合いたいの?」って質問に美夜が「そんなわけないよ!」と否定してくれるまで、俺は落ち着けなかった。


 ホント、自分でも嫌になるくらい陰気で自信のない性格。

 だから尚更いつ美夜に愛想を尽かされないかと冷や冷やしてる。


 それなのに、美夜と二人きりだと彼女に迫ってしまう。

 だって、美夜が可愛すぎて……。


 赤くなったり、俺のキスでとろけた顔したり……。

 そんな美夜はホント可愛くて、そんな姿を俺だけに見せてくれてるんだと思うと優越感がすごくて。


 ……だから、ダメだと……もう無理だと言われたのにやってしまった。

 美夜に、俺のものって印をついにつけてしまった。


 後悔はしてない。

 でも……。


 顔を赤くして睨みつけられて、ちょっとだけ申し訳なくは思った。