陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

「え? あ、ごめんごめん。告白されてる最中だもんね」

 花穂は黙ってくれたけど、ニヤニヤと明らかに面白そう。

 もう、あたしは困ってるってのに!


「あ、それでね――」

「オレ、中学のころから月見里のこと好きだったんだ」

「ぅえ!?」

 今度こそと思ったのに、次は颯くんに邪魔される。


「でも、高校じゃあクラスも別になっちゃっただろ? 接点少なくなって、距離がどんどん離れていく気がしたから……」

 そこで一度言葉を切ってまっすぐあたしを見た。

「だから、俺が優勝したら付き合ってくれ!」

 もう一度宣言される。

『おおー!?』

 教室にいたほとんどの人が大きく声を上げて興奮していた。


 あたしは早く付き合えないことを伝えたかったけれど、周囲がどんどん邪魔をしてくる。

 困った。


 大体、球技大会で優勝したら付き合うとか訳わからないんだけど。

 告白して付き合うかフラれるかして終わりじゃダメなの?


 そんなことを考えながら、今度こそちゃんと伝えるためにタイミングを見計らっていると。


「月見里さん……」

「っ! ひろく……渡瀬くん?」

 このタイミングで話しかけてくるとは思わず、ついいつもみたいに名前で呼びそうになってしまう。