陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 近くに行くと、「目閉じて」とささやかれる。

 キスをされるのかと思ったけれど、首に回された手は少しすると何もせず離れていってしまった。

 不思議に思うと同時に首元に違和感を感じる。


「目、開けていいよ?」

 指示に従って(まぶた)を上げ胸元を見ると、三日月と小さな星の形をしたシルバーのペンダントトップが見えた。


「……これ……?」

「誕生日おめでとう、美夜」

「え? あ、ありがとう陽呂くん」

 まさかプレゼントをもらえるとは思わなくてちょっと……ううん、結構驚いた。


「去年はまだ慌ただしくて贈れなかったし……。俺から彼女の美夜に、初めてのプレゼントってことで」

 あえて彼女という言葉を使ってる感じがして照れる。

 だから照れ隠しに言い返した。


「そっか……ありがとう、彼氏さん」

 すると陽呂くんは嬉しそうに笑って、分厚い眼鏡を外した。

 それをベッドサイドに置くと、あたしに向き直って真剣な目をする。


 伸びてきた手が、頬を撫でて髪を耳に掛けた。

「……彼氏彼女だから、いいよな?」

 トクン

 心臓が少し大きめに跳ね、そのままトクトクと早鐘を打つ。


 何がいいかなんて、言わない……言えない。

 でも、お互いに分かってる。