「あ、ごめん!」
反射的に謝って相手を見た途端、あたしの心臓はドクンと跳ね上がる。
「……いや」
短くそう言った彼は、のそのそと自分の席に向かって行った。
「あーごめんね。あたしのせいであの陰ヒロにぶつかっちゃって。陰気移されてない?」
冗談めかして言う花穂に、あたしは不満顔を前面に出して口を開く。
「冗談でもそういうこと言っちゃダメだよ。陰キャなのは……まあ事実だから仕方ないにしてもさ」
言いながらまた視線を彼に向けた。
長めの黒髪。
分厚い眼鏡。
ブレザーの中にはいつもパーカーを着ていて、先生に注意されない限りいつもフードを被っている。
そんな彼の名前は渡瀬 陽呂。
皆から名前が似合わないということで陰ヒロと呼ばれているクラスメートだ。
まあ、本人も自分の名前が嫌いらしいからその呼び方を許してるってところもあるんだけど。
「あ、そっか。美夜は陰ヒロと比較的仲良いもんね。ごめんごめん」
軽い謝罪に「もう」とあたしは怒った肩を落とす。
「家隣なんだっけ? 登下校一緒になってるときあるよね?」
「うん、中学のとき渡瀬くん一家が隣に引っ越してきたの」
夏休みが終わる頃だったから、一年は過ぎたところかな。
反射的に謝って相手を見た途端、あたしの心臓はドクンと跳ね上がる。
「……いや」
短くそう言った彼は、のそのそと自分の席に向かって行った。
「あーごめんね。あたしのせいであの陰ヒロにぶつかっちゃって。陰気移されてない?」
冗談めかして言う花穂に、あたしは不満顔を前面に出して口を開く。
「冗談でもそういうこと言っちゃダメだよ。陰キャなのは……まあ事実だから仕方ないにしてもさ」
言いながらまた視線を彼に向けた。
長めの黒髪。
分厚い眼鏡。
ブレザーの中にはいつもパーカーを着ていて、先生に注意されない限りいつもフードを被っている。
そんな彼の名前は渡瀬 陽呂。
皆から名前が似合わないということで陰ヒロと呼ばれているクラスメートだ。
まあ、本人も自分の名前が嫌いらしいからその呼び方を許してるってところもあるんだけど。
「あ、そっか。美夜は陰ヒロと比較的仲良いもんね。ごめんごめん」
軽い謝罪に「もう」とあたしは怒った肩を落とす。
「家隣なんだっけ? 登下校一緒になってるときあるよね?」
「うん、中学のとき渡瀬くん一家が隣に引っ越してきたの」
夏休みが終わる頃だったから、一年は過ぎたところかな。