陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

「あ、えっと……試合残念だったなって話してたんだよ」

「そうそう! もう少しで勝てたのにって!」

 男子二人はそう言って誤魔化すとすぐに行ってしまった。


 残った江藤を見ると、驚愕の表情。

「は、颯、くん?」

「ん? 何?」

「い、いつからそこに……いえ、いつから聞いて……?」

「それは……」


 ついさっきと嘘をついても良かったけれど、オレを真っ直ぐだと言ってくれた江藤には何となく嘘はつきたくなかった。

 だから、多分ショックを受けそうだなって予感はしたけれど正直に話す。


「えっと……最初から……」

「ウソ~!」

 項垂れる江藤にオレは言葉を重ねた。


「何でそんなにショックなのか分かんねぇけど、オレああいう風に言ってもらえて嬉しかったぜ? 江藤カッコよかったし!」

 するとピクッとオレの言葉に反応した様子を見せた。

 だからオレはさらに続ける。


「確か江藤、入学式のときにもからかわれてる女子を助けてたよな? あのときもカッコよかったもんな!」

 でも、オレのその言葉は逆効果だったらしい。


「うあぁ……それを忘れて欲しかったのにぃ……」

「え? そ、そうだったのか⁉」

 どうしてなのかは分からなかったけど、更に落ち込ませてしまったみたいで慌てる。