「あんた達、本人が聞いてないからっていくら何でも言い過ぎなんじゃない⁉」

 突然女子の声が響き渡った。


「あ? 何だよ」

「別に良いだろー?」

「良くないわよ! 事実なら仕方ないよ? でも最後に話してた内容は明らかに憶測でしょう⁉」

 叫ぶ女子を見ると、それは同じクラスの江藤だった。


 可愛い外見をしていて、男子から守ってあげたいタイプなんて言われてる子。

 そんな子があんな風に怒るなんて……。


 ……あ、でもそう言えば……。


「それに颯くんは真っ直ぐな性格の人なの! そんなひねくれた計画立てれるような人じゃないんだから!」

「っ!」

 不意打ちに、息が詰まった。


 ちょっと買いかぶり過ぎな気もしないでもなかったけど、確かにオレはそういう性格。

 良く言えば真っ直ぐ、悪く言えば愚直(ぐちょく)なんて言われたこともある。


 そういうのを分かって、しかもしっかり言い返してくれる子がいたんだなって、ちょっと感動した。


 だから、あの三人の雰囲気がもっと険悪になってしまう前に姿を現した。

「……えっと、オレのこと話してる?」

 とりあえず、ちょっととぼけつつ声を掛けた。

 こいつらも聞かれてたって分かったら気まずいだろうし。