そうして一人でいたけれど、誰かが話しながら近くに来るのが分かって校舎の壁と木の間に隠れた。

 とりあえず今は誰とも会いたくなくて。


 でもそうしたら、近くに来た奴らの会話が良く聞こえて来てしまった。


「ってかよー、あれって結局陰ヒロと月見里が両想いってことだろ?」

「だよなー? つーことは、成田とんだお邪魔虫じゃんか」

 と、笑いながら話している。


 あれは隣のクラスのやつらだったかな? 月見里達とは違うクラスの。

 でも中学は同じだったから顔はよく覚えている。


「それで勝負するとか言ってたんだろ?」

「うっわ、迷惑でしかねぇじゃん」


 うっ!

 本人が聞いていないと思っているからか容赦のないセリフ。

 それがグサグサと心に突き刺さってくる。


 分かってるっつーの!

 分かってるけど、そうやってぶつかっていくしかオレには出来なかったんだよ!


 事実過ぎて言い返せないから、心の中でだけ文句を言う。

 そうしてやり過ごすつもりだったんだけど……。


「つーか、もしかして分かってて割り込んだんじゃねぇの?」

「ん? どういうことだよ?」

「事前の噂だと成田と月見里が好き合ってるって感じだっただろ? 試合に勝って、本気でそのまま奪う気だったのかも知れねぇよ?」

「マジ⁉ ひっでぇ! でも確かに……」


 いくら何でも酷い言いように、いっそ今出てってやろうかと思い始めたとき。