陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

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 表彰式はすでに始まていて、ダブルスの女子の表彰が終わったところだった。

 一学年の女子優勝者はあたし達が負けた子達だったみたいで、驚いたけど納得する。

 そりゃ、付け焼刃のあたし達が勝てるわけないよね。


 次は男子シングルの表彰。

 三年からだからまだ余裕はあるけれど、陽呂くんが表彰されるまでにはもうちょっと近くに行きたいな、と行けそうな場所を探す。


 そうしてキョロキョロしていると――。

「美夜! こんなところにいた!」

 と、やや強引に腕を掴まれた。

「あ、花穂」

「もう、探したんだよ? ほら、こっちから行けば近くに行けるから」

 そのまま腕を引かれて前へ前へと連れて行ってくれる。


「ありがとう花穂、助かるよ」

 移動しながらお礼を言うと、「いーのいーの」と軽い返事。


「それに発破かけた身としてはご褒美も用意しなくちゃね」

 と、よく分からないことも言っていたけれど、あたしに対しての言葉じゃなさそうだったから聞き流す。


 三年、二年と表彰が終わると、その人達を目当てに近くにいた人の流れもあってか前の方は空いて行き、陽呂くんの表彰がはじまる頃には何とか最前列に来られた。