そんな感じで大注目となった試合が始まった。

 はじめこそ単純に面白がっていた周囲の人達も手に汗握る一戦に言葉を無くしていく。


 颯くんは現役ではないにしてもかつてのエースとしての力量を発揮していたし。

 陽呂くんは沢山汗をかいていて、それでもラリーを続けている様は陰キャなりに必死で食らいついている様に見えた。


 実際陽呂くんの場合は、力加減を調節する方に必死なんだろうけれど。

 移動速度とかも、陽呂くんはその気になれば瞬間移動?って思うくらい早く動ける。

 でもそれをしたら完全に人間離れしてるの分かっちゃうから、そういうスピードも抑えてるんだと思う。


 ラリーを続けて、隙を狙ってスマッシュを打つ。

 それを打ち返すことが出来たり出来なかったりと、本当に白熱していた。


 一点、二点と差がついても片方が追いかけて、また差が出ても追い返す。

 それが繰り返されて、2セットが終わるころには引き分けとなっていた。

 球技大会では時間短縮のため3セットで決着をつけるから、次で決まる。


 あたしはもちろんだけど、周囲もドキドキハラハラしているのが伝わってくる。


 そうして始まった3セット目は応援の嵐だった。

 うちのクラスは陽呂くんを応援していたし、颯くんのクラスは颯くんを。

 それ以外の人達もどちらかに分かれて大体半々な感じで応援がされていた。