可愛くて、嬉しくて、自分の鼓動がかなり早くなっているのを感じた。

 体温が上がっていく。


 美夜が欲しくて、たまらなくなる……。


「美夜」

 欲しくてたまらないただ一人の名を呼ぶと、「ん」と小さな返事。

 そんな些細な仕草すら可愛くて、たまらずその小さな唇に食らいつく。


 そして、美夜の体温もいつも以上に上がっていることを知った。

 溶け合うような体温に歓喜を覚えると、俺の熱が一か所に集まるような気がして瞬時にヤバイ! と判断する。


 このまま熱を交わしたい欲を残った理性をかき集めて抑え込む。


 ダメだ、流石にソレはダメだ。

 場所が場所だし、何より俺は自分が言ったことすら守れない男になってしまう。


 美夜の誕生日に全てをもらうと言った。

 その前に、ちゃんと俺の口から想いの言葉を伝えると言った。

 そして美夜をちゃんと守るって。


 月原さんはもう大丈夫みたいだけど、まだ成田のことがある。

 ちゃんと決着つけて、もう美夜に手を出してこない様にしなきゃならない。


 ただでさえ最近は情けないところばかり見せてるんだ。

 それなのに自分の言った約束まで(たが)えるわけにはいかない。