触れてから、そう言えば自分からキスをするのは初めてかもしれないと思った。


 驚いたように固まる陽呂くんから一度離れると、呆然とした様な表情が見える。

 その目が嬉しそうに細められると、「美夜」と甘やかな声で呼ばれた。

「ん」

 と短かく答えると、今度は陽呂くんの方からキスをしてくれる。

 優しい、いつもの落ち着かせてくれるキス。


 あたしは腕を陽呂くんの頭にまわし、触れている唇が離れない様に抱きしめた。

 陽呂くんも、後頭部に回っている手の力を強めてあたしを抱きしめてくれる。


 陽呂くんの唇や体も、いつもより熱い気がする。

 あたし達はお互いの熱に気付きながら、辛うじて残っている理性でその熱を鎮めるためのキスをした。


 ……。

 …………。


 そうして落ち着いた後で、あたしは学校で何をやっていたんだろうと悶絶する羽目になった……。


 うぅ……恥ずかしい……。