「ん、ありがと」

 短くお礼を言う陽呂くんの吐息が首にかかってくすぐったい。

 身じろぐと、チュッと唇が触れてあたしは覚悟を決める。


 プツッ

「ぅんっ!」

 鋭い痛み。
 でも、息を吐くと同時に体中を熱がかけ巡る。

「あ……んっ」

 頭が沸騰しそうになるくらいに熱が上がって、何だかいつもより熱い気がした。


「ひ、ろ……くん……っ」

 陽呂くんの背中に回っている手で、彼のシャツをギュッと掴む。

 そうして何とか耐えているうちに、陽呂くんは咬んだところを丁寧に舐めとって吸血を終えた。


 体も動くようになったみたいで、床に肘を着いて少し体を浮かせてくれる。

 のしかかる重さが軽くなり、ホッと息をついたのも束の間。

 彼の片手が背中に回り、後頭部の辺りを掴むようにして首を支えられた。


 そしてツーッと舌先で首筋を舐められる。

「っん!?」

 いつもはしない行為に驚きと羞恥が沸き上がり叫ぶように名前を呼ぶ。

「ひ、陽呂くん!?」

「ホント、ここに咬みつかれなくて良かった……」

「ぅえ?」

「美夜は俺の……俺だけの……」

 その続きは聞こえない。

 チュッ、チュッと首筋を何度も唇が触れた。