陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 チラリと陽呂くんを見ると、視線がかち合う。

 気まずげに視線が逸らされたから、陽呂くんも似たようなことを考えてたんじゃないかな?


「……うん、やっぱりね……。ありがとう、手間を取らせた」

 悲しそうに微笑んだ月原先生がそう言うと、フッと体が自由になる感覚がした。


「……いえ、むしろあたし達が手間を取らせてしまった様な気が……」

「ははっ……まあ、それはね。でも渡瀬くんを動けなくしてしまったし、おあいこってことで」

「あ、ははは……」

 否定はされなかった。


「……それで、確かめたいことって何だったんですか?」

 体は動かなくても口は動かせるのか、陽呂くんが床に倒れた状態で不機嫌そうに聞く。

 あたしはそんな陽呂くんの側へと駆け寄った。


 表情を見るに、痛そうとか辛そうとか、そういうものはない様子。

 本当に体を動かせないだけみたいでホッとした。


「ああ、月見里さんが私の“唯一”になるのかどうかを確認したかったんだ」

「へ?」

「っ、何を……?」

 月原先生の言葉にあたしはとにかく疑問符を浮かべ、陽呂くんは気色ばんだ。


 えっと……“唯一”って吸血鬼の“唯一”ってことだよね?

 安藤さんに説明されたことを思い出しながら首を捻る。