陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく


「んっひ、ろ……くん」

 丁寧に舐めとられると、血が止まったのが分かる。


 吸血鬼の唾液(だえき)は傷を塞ぐ効果があるんだって。

 何故か吸血するときにしか発揮(はっき)されないらしいけれど。


 便利なんだか不便なんだか……。


 でもとにかくこれでシーツを汚さなくても済んだ。


 陽呂くんはあたしの血を一通り舐めとると、あたしの首から顔を離す。

 そして背中に当てられていた手の力を(ゆる)めてポスンとベットに落とした。


 そうすると陽呂くんのパーカーを掴んでいた手が離れてしまう。

 それを寂しく思っていると、陽呂くんの方からその手を掴んでくれた。


 片手ずつ、指を(から)めて(つな)がれる。

 そのままあたしの頭の横に優しく押さえつけられたら、また陽呂くんとの距離が縮まった。


 これも、いつもしてること。

 吸血した後も、終わらない。


「美夜……」

 あたしと陽呂くんの夜はまだまだ続く。


「次はこっち」

「あ……」

 優しいけど、欲が込められた瞳が近付いて……あたしの唇を塞いだ。


 ドキドキどころか、バクバクして痛いほどの心臓を落ち着かせる暇もなく、陽呂くんの唇があたしのそれをついばむ。