「ああぁん? なーに? 口ごたえすんの?」

「そんな、口ごたえなんて……」

「それが口ごたえだっつーの。あーイラつく」


 もう、なにこれ?
 理不尽なんだけど⁉

 怖いし、何言っても怒られるしでちょっと泣きたくなってくる。

 そうして途方に暮れていると、陽呂くんがあたしを守るように前に立ってくれた。


「陽呂くん……」

 陽呂くんもこういう人苦手だろうに、ちゃんと守ってくれる彼にこんな時だけど嬉しいと思ってしまう。

 ただ、やっぱり言葉は出てこないみたいで無言だけれど。


「んだよ。何アンタ? この子守ってるつもり?」

「まさかこの子取り合ってる男ってコイツ?」

「うっけるー。もう一人は結構なイケメンっぽかったし、どんなかと思ってたら……。まさかこんな陰キャとは」

 あからさまな嘲笑にあたしの方がムッとしてくる。


「何アンタ、もう一人じゃなくてこっちの陰キャの練習に付き合ってんの? あり得ねー!」

 キャハハと耳障りな声で笑う三年達に、あたしは怒りを抑えきれずについ「あり得なくないです」と呟いた。

「笑わないでください、彼は素敵な人です!」

 今度のは、本当に口ごたえだと思う。

 でも彼女たちは更に笑うだけ。