そのせいもあって、金曜日の夜はいつも以上に(せま)ってしまった。

 俺も頑張るから美夜も練習頑張ろうな、なんて言って……。


 後から考えると流石に図々しかったかもしれないと少し反省する。

 美夜も呆れてしまったかも知れない。


 ……それでも、そんな俺ごと受け入れてくれるのが美夜で……。

 だからこそ、何度目とも知れない好きという感情が俺の中から溢れていく。

 溢れて、溺れる。


 普通であれば溺れすぎてはいけないほどの感情。

 でも、相手が美夜ならそれも良い。

 だから俺は抵抗もせずいくらでも沈んで溺れるんだ。


 そしてそれくらい溺れているから、手放すことなんて出来ない。

 頭に浮かぶのは美夜を狙う二人の男。

 邪魔をするなと悪態をつきたくなる。


 成田は俺との勝負をほぼ一方的に決めた後は、中学のときの伝手を使ってか別の場所で毎日練習しているらしい。

 その分美夜に近づいて来ることが少なくなったから良かったとも思うけど、それくらいの本気度を感じてやっぱりイラつく。


 そして月原さん……。

 本当に何を考えているのか……ふとした瞬間に見ると視線は美夜を追っているけど……あれはどちらかと言うと好きとかの好意ではなくまるで観察しているようで……。

 何がしたいんだ? と疑問ばかりが浮かぶ。


 でも、この週明け。

 その月原さんがついに行動を起こしたんだ。