陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 血を吸うためとはいえ、一つのベッドの上に陽呂くんと二人で乗る。

 そのシチュエーションだけで顔を覆いたくなるほど恥ずかしいのに!


 それで本当に血を吸うだけなら、ここまでドキドキしないよ……。

 その先のことを考えると、まだ何もされていないのに鼓動が早くなって目が潤んでくる。


「美夜……」

 熱ぽい吐息とともにあたしの名前を呼んで、彼が近付く。

 あたしの背中に陽呂くんの大きな手が添えられて、抱き締めるように首筋に顔を(うず)められた。


「んっ」

 それだけで心臓が爆発しそうになる。


「美夜、可愛い……」

 呟きと、首筋に触れる柔らかな彼の唇。

 それが、“いただきます”の合図。


 短く息を吸ったあたしの首に、二つの尖ったものが突き立てられた。

 ツプリと突き刺さった痛みは一瞬。

 すぐに痛みの熱は別のものへと変わっていく。


「んっあっ!」

 ゾクゾクと体を何かが駆け巡って、その熱を全身に送り届ける。

 その瞬間、あたしはその熱に支配されてしまうんだ。


 吸血鬼に直接血を吸われると、性的快感を覚えるんだと聞いた。

 このゾクゾクするものと、全身に与えられた熱がそうなのだと知ったのは二度目に血を吸われたときだった。