陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

 多分、その瞬間にはもう落ちてたんだ。

 “唯一”だとか言ってるけど、そんなの知らないうちから俺は美夜を――。


 それから少しして、俺は支給されている吸血パックを半分こぼしてしまったんだ。

 そのせいで次の支給される日までもたなかった。

 どれだけ水を飲んでも喉が渇いて、どうしたらいいのか分からなくて……。


 何かを探し求めるように外に出たら美夜に声をかけられた。

 ああ、ここにあった。

 求めていたものを見つけたと本能が告げていて……。

 気づいたら、美夜に咬みついていた。


 どうしようもない焦燥が襲ってきた。

 好意を寄せている相手から化け物を見るような目で見られるかもしれない。

 そんな目を見たくないと思うのに、彼女から視線をそらせなかった。


 そうしたら、美夜はあろうことか微笑んで……。


『大丈夫だよ?』


 優しく、そう言ったんだ。


 でもすぐに気絶してしまったし、聞き間違いだったかもと思っていたのに。

『大丈夫?』

 目が覚めて一番に俺を見て言った言葉がそれだった。


 ありのままの俺を受け入れてくれた美夜。

 その後も美夜の血しか受け付けなくなってしまった俺に、血を提供するのを拒まないでくれた。