陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

「ひゃっ!」

 小さく悲鳴を上げたあたしに、陽呂くんは溶けてしまいそうなほどの熱を帯びたささやきを届ける。


「早くちょーだい」

 甘えたような言葉に何かがこみあげてくる。

 変な声が出てしまいそうで、あたしはただコクリと頷いた。


 すると少し笑う様にフッと息がかかり、耳たぶを甘噛みされる。

「んっ陽呂くん……」

「じゃあ横になって?」

 また甘えたような声で言われて「うん」と言いそうになったけど、少し思いとどまる。


「あ、待って。血を吸うのは、立ったままでして?」

「……何で?」

「だって、先週シーツに血が付いてたんだもん」

「あー……ごめん。でも美夜すぐ足に力入らなくなるだろ?」

「うっ」

 その通りだった。

 陽呂くんに血を吸われると、あたしはすぐにとろとろになってしまって立っていられなくなる。


「……じゃあ、座ってて。それなら俺が支えてればいいだけだし」

「うん、それでお願い」

 陽呂くんの提案に助かったと思う。

 これなら突然倒れる心配も、血がシーツにつく心配もない。


 あたしは一度陽呂くんから離れてベッドの上に足を伸ばすように座った。

 そのベッドの上に陽呂くんが片足を上げると、ギシリとベッドが(きし)んでその音にもドキッとする。