陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく

「どういうつもりで言ったかとかそういうのはどうでも良いの」

 あたしの考えを読んだわけじゃないだろうけれど、そう言ったおばさんはとても嬉しそうに……涙までにじませた笑顔で続けた。

「美夜ちゃんは、陽呂のありのままを受け入れてくれたでしょう? 元がどうだとか、吸血鬼だとか、一つ一つにこだわらずに、今の陽呂そのものを全部ひっくるめて受け入れてくれた」

「……」


 そう、なのかな?

 良く分からないけど……確かに存在を否定したり拒絶したりはしなかったかな?


「私と夫はね、そんな美夜ちゃんを見て心のつっかえが取れたのよ。どんな存在になったとしても、陽呂が陽呂である限り私達の息子に変わりはないって」

 そう思えただけで、心が軽くなったんだって。


「いや、でもあたしそんな大したことしたわけじゃ……」

 ありのままを受け入れたって言うけれど、ただそこまで深く考えてなかっただけとも言えるし……。

 おばさんの感謝がこそばゆくてどうしても否定してしまう。


 そんなあたしに、おばさんは実の娘を見るような優しい眼差しを向けてくれる。


「良いのよ。美夜ちゃんはそのままでいてくれれば。そのままの、ありのままの美夜ちゃんだから、私達も素直に受け入れることが出来たんだもの」

「……はい、ありがとうございます……」

 あまりにも否定ばかりするのも気が引けてきて、あたしは照れてしまうけれどその感謝を受け取った。