……。

 そんな後悔をしていたので、あたしはなかなか眠れなかった。

 紅夜のものだというシルバーリングをずっと眺めて、彼を思う。


 そうして見ていて気付いたけれど、このシルバーリングには裏石があった。

 シークレットストーンにしては大き目だけれど……。


「これ、ダイヤモンド?」

 呟く。


 光の反射でキラキラと光る様子が、紅夜の金色の髪を思い起こさせて……。

 胸が苦しい。

 会いたいと思う気持ちが強くなるだけだった。



 だから、次の日の放課後。

 あたしはまた黎華街の入り口に向かう。


 スーツ姿の男性も、今日はいなかった。

 だからあたしは足を進める。



 昼でも危険な街・黎華街。

 ためらいは一瞬。


 会いたい。

 それだけを胸に、あたしは赤く染まったほの暗い街へ足を踏み出した。