「んぁっ、ぅうんっ」

 紅夜の手の動きにしか集中できなくなる。

「美桜……」

 熱い息とともに呼ばれる名は、ゾクリと喜びを植え付ける。


「お前が欲しい……」

 確かめるように告げられたあと、ついばむようなキスをして彼の舌が唇をなぞるように撫でた。


「お前は?」

「っ……ふぇ?」

 すでに溶けている意識の中では何を聞かれているのかも分からない。


「美桜は、俺が欲しい?」

 何も考えられず、聞かれるがままに答えた。

「ほ、しいっ。紅夜が、ほしいよぉ……」

「ん……いい子」

 良く出来ましたと言わんばかりの満足そうな声に、あたしはもう本当に何も考えられなくなる。


 とろりと溶けていた意識はさらにドロドロに溶かされ、紅夜の求めるままに応えてしまう。

 やがて来た痛みも、いくつもの口づけが溶かしてくれた。


「美桜……」

 切なげにあたしの名を呼ぶ紅夜に手を伸ばすと、応えるように指が絡められる。

「こう、やっ」

 応えるように名を呼ぶと、深いキスがあたしを酔わせる。




 そうして溶け合う様に、あたしは金色の狼に食べられてしまった――。